喜連の小道を入っていくと、町並みに馴染みながらも存在感漂う 「ぐるぐるそだつながや」に出会う。この何とも不思議なネーミングの 長屋再生プロジェクトを企画、実現したのは綿谷オーナーご夫妻だ。 多くの場合、売却や収益物件になるのだが、想いと出会いの重なりが あり、このプロジェクトを実現したという。「この空間では、時間がゆっ くりと流れる気がします。使う人たちが完成させていってくれるのを お手伝いしたい」というスタンス。確かに寺子屋のような昭和の佇まい に、懐かしさでない安堵感がある。このリラックスが人の共感を生むの だろう、織物などの教室から、近所の集会まで様々な利用が広がりつつ ある。この想いを共有できる方に使って欲しいという気持ちが、初め て訪れた取材者にもよく伝わるのが不思議だ。建物でありながら、存在 しているのは長屋という演出が作る、空間に違いない。そんなたっぷり の余白こそが、この長屋の可能性を感じさせるのだろう。子供たちが 長屋の周りをぐるぐる走り、お母さんたちが見守る風景が想像できた。 「ぐるぐるそだつながや」、最初は少し不思議に感じたネーミング も綿谷夫妻のお話を聞くにつれ、しつくりと馴染んでくる。 |